-土方さん編-



お昼休み、お弁当を食べ終えて教室に戻るため廊下を歩いていると…、


「!!」


何か大きな物音がして、私は驚いて足を止めた。
一瞬山南先輩の科学室かな…?
と不安になったけど、今いるのは生徒会室の前だった。


(生徒会室は…)


いるとしたら、会長の近藤さんか土方先輩かな…?
山南先輩も関係者だけど、お昼休みは山南先輩は科学室にいることが多いから。


(それとも…)


さっきの物音はただ事ではないかもしれない。


(はっ!もしかして泥棒!?)


私は閃いた可能性に自分でも驚いたけど、
もしかしたら…と思い、思い切って生徒会室の扉を開いた。


(生徒会室は学校関係の重要な書類がありますものね…
 それを盗まれたりしたら大変ですし…!)


ゆっくりと戸を開き、ゆっくりと侵入を試みる。
気付かれないように…。幸い今のところ誰もいないし、何事もないみたい…。

ただ、大量の本が床の上に落ちていた。


(あ、これが落ちた音だったんですかね…?)


落ちている本を拾おうと傍によると、いきなり机の下から手が出てきた。


「ひっ…!」


驚いた私は思わず仰け反り、引っ繰り返りそうになってしまったけど、
その手の正体、机の下から出てきたのは土方先輩だった。


「…ん??」


土方先輩は本をドサッと机において、
私に気付くと少し驚いたような顔をした。


「あ…、土方先輩…だったんですか…;」


私はほっと安心したように息をついたけど、
勝手に部屋に入ったことを思い出し慌てて土方先輩に頭を下げた。


「あ;すみません;土方先輩。勝手に生徒会室に…。
 あの、物音がして…誰かいるのかな…と思って…;」


苦しい言い訳のような詰まりながらの弁解に自分自身慌てたけど、
土方先輩はふっと優しい表情になると、ぽんぽんと私の頭を撫でた。


「……?」

「別に、気にするな。心配をかけたな。
 さっきのは俺がつい本を落としてしまっただけだ。」


土方先輩は山積みの本を一つ取って、はたいた。


「近藤さんのために集めたんだが…
 中々目を通してくれないからたまる一方だしな…まったくあの人は…。」


土方先輩は盛大なため息をひとつ。

人気はあるけど、近藤さんと違って近づきがたい雰囲気がある土方先輩のことは、
恐がっている人も多いけれど、やっぱり土方先輩もとても優しい人だな、と再認識した気がした。


「それなら、私も近藤さんを見かけたら言っておきます。土方先輩が困っていたって。」

「ああ、頼む。俺や山南さんが言っても聞いてくれないが、お前の言うことなら聞きそうだ。」

「はい。」


本当にしょうがないとあきれ気味の土方先輩。
それでも二人はいいコンビだとつくづく思います。

今この学園は二人をはじめ、生徒会が本当にがんばって下さっているからより良いものになっているんですよね。
がんばって下さい、土方先輩。

私は心の中でエールを送り、生徒会室を後にした。
いつも真面目で勉強熱心な土方先輩の休み時間は生徒会室でお仕事ですか…。




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2008.08.26