どうして気付いてしまったんだろう。

どうして今になって…。

あのまま気付かないままでいたかった…。





-それは痛みを伴う感情で-




貴方のことが“好き”だと思っていたのは最初から、
でもそれは特別な気持ちじゃなくて、大切だと思う皆と同じ気持ち。

不器用だけど優しくて、いつも真面目で真剣な瞳が、とても素敵だと思った。

新撰組の組長として、人として、とても立派で尊敬できる。
そんな貴方を“好き”だと思うのは必然で、当然だった。

でも、その“好き”に特別な意味はないと思っていた。
だって私は貴方のことだけじゃなく、皆のことも大好きだったから。

皆といるのは楽しくて、貴方といるのも楽しくて、
とても幸せだと思っていた毎日。

ずっとこのままで、ずっとそのままでいたかったのに…。




その気持ちに気付いたのはほんの小さなきっかけと、
ほんの小さな胸の痛みだった。

あまり表情に変化のない貴方が笑ってくれることがとても嬉しいと思っていたある日。
そんな貴方の笑顔が他の人に向けられているのを見た時、チクリと小さく胸が痛んだ。
そしてモヤモヤとした嫌な気持ち…。


それで気付いた。


嫉妬しているのだと。


貴方の笑顔が、声が、他の人に向けられていることが、
こんなにも苦しく思うなんて…。


私は貴方のことが好きなんだと…。


他の皆とは違う、特別な意味で“好き”なんだと…。

その時初めて気付いたの。


けど、その時同時に気付いたことは、貴方の気持ち。
貴方も私と同じように誰かを想っているということだった。

正直それがとても辛くて、貴方を好きだと思った事を後悔しそうだった。
気付かなければと思った。

でも、貴方の傍に居られることが、貴方の笑顔を見られたことが、
幸せだと思った気持ちまで否定したくはなかった。


たとえ叶わなくても、たとえ片思いでも、
貴方のことを好きになったこと…後悔するのは哀しいから…。

誰かを好きになることは、誰かを想うことはきっと素敵で幸せなこと。

でも、何だって良いこと、幸せなことばかりじゃない。
辛いことも付き物。

でも、辛い気持ちがあるから幸せなことも感じることができる。
貴方を好きになって感じたこの気持ちは『幸せの欠けら』
胸に感じたこの痛みも。

今は涙を誘うものでも、いつか笑える日がくると信じているから。
貴方を想って私は幸せでした。



だから貴方も幸せになって…。



貴方が笑ってくれることが一番嬉しい。
貴方が幸せでいてくれるなら私も幸せだから…。

綺麗事かもしれない。
でも、初めて愛しく想った人だから、誰より幸せになって欲しい。

私ではない誰かと添い遂げても、それが貴方の幸せなら、私はそれを祈っています。

誰よりも愛しい命より大切な人。

どうか誰より幸せに…。

そして…願わくば次に出会った時は、私を隣に居させて下さい。

次に生まれ変わって逢えた時、変わらず貴方を想っていたら、
その時はきっと伝えるから…。


貴方のことが誰よりも、『好き』だということを……。




戻る




2008.05.12