「藤原泰衡、22歳、男だ。」

「名前はです。えっと…歳は……多分15歳？性別は女です。」

（多分？）

「奥州平泉、藤原の総領か？関係は当然俺が『主』でお前が『従』だな。？」

「はい。…ところで泰衡様、」

「何だ？」

「私は役職（？）は何になるんですか？」

「………藤原の女中だとでも言っておけ。」

「はい。」

「名前で呼んでいるな。」

「はい、私は『泰衡様』とお呼びしています。」

「俺は普通に話しているが…」

「私は敬語でお話します。」

「当然だな。」

「はい。」

「どのぐらいでしょう？」

「何だと言っても大分経つな。」

「そうですね。ありがとうございます、泰衡様。」

「何がだ？」

「今までお傍に置いて下さってです。」

「………もう終りのような言い方だな？」

「え；いえ、そういうわけでは；」

「ふっ、当然だな。お前はまだまだ放す気はない。」

「はい、これからもがんばります。」

「ああ。」

「第一印象か…」

「何でしょう？」

「………別に。お前はどうなんだ？」

「え？」

「どうせ怖いと思っていたのだろう？」

「そ、そんなことないです…。」

「いつも怯えていただろう。」

「そ、それは…；でも泰衡様は私のこと、助けて下さいました。」

「…………」

「本当は優しい方だって思いました。」

「…………」

「確かに初めは…でも、私、今は泰衡様のことお慕いしています。」

「……///ふん」

「泰衡様は…」

「…ん？」

「その…私のことは……」

「………………頼りない…と」

「そ、そうですよね…よく言われます…；」

「………だが、悪い意味ではない」

「え？」

「な、なんでもない。次にいけ。」

「あ、は、はい。」

（……放って置けない奴だと思ったんだ。）

「長所…と、短所…ですか；」

「何かあるのか？お前が、俺に？」

「は！え…っと；その…；」

「…………」

「長所…って良いところですか？」

「そうだ。」

「………お優しい所です。」

「………俺のことをそう言うのはお前だけだぞ。」

「でも本当です。泰衡様はお優しいです。」

「…………；」

「………」（にっこり笑顔）

「…………///そ、それなら短所はどうなんだ？」

「え；悪い所ですか；」

「そうだ、言ってみろ。」

「う…、その……ご無理をされることが多いのではないですか？」

「…………」

「いつも、何事にも一生懸命な泰衡様は素敵だと思います。
　でも、責任とか立場とかのためにご無理されているように思います。
　それが悪いことではないのですが…ご自身のこともっと大切にして…欲しいです。」

「……お前に言われずとも…」

「は、はい；出すぎた真似を…すみません。」

「いや、そういことでは…そのお前も同じだ。」

「え？」

「お前も何事にも熱心なのはいいが、無理しすぎるな。
　それと……辛かったら……言えばいい。」

「…………はい！ありがとうございます！泰衡様！」

「…ふん///」

「…………」

「私は、泰衡様にお仕え出来て幸せです。」

「……そうか。」

「はい。」

「……まあ、お前も…」

「本当ですか？」

「あ、ああ…；ただ…お前は……」

「？」

「い、いや…なんでもない///」

「お守りします！泰衡様のこと！」

「……お前はそういう分野で雇っているわけではない。気にするな。」

「いえ！でも、私にとって泰衡様は大切ですから！
　それは…銀さんのように強くありませんし…、守るといっても…」

「そうだ、お前は気にするな。自分の身の安全を考えろ。」

「で、でも！身代わりぐらいならなれますし！命に代えても…」

「ダメだ！そんなこと許さんからな！」

「！？…は、はい！？」

「っ……その…お前に守られるほど俺は弱くはない。」

「は、はいそれは…。」

「それに、お前に、女に守られるなど藤原の総領としての立場がない。」

「そ、そうですか？」

「そうだ。だからお前は…無茶なことはするなよ…。」

「立場が逆転？」

「俺がお前に仕えたら？ということじゃないのか？」

「………………え！？そ、そんなこと…；」

「ふっ、確かに想像出来んな。」

「は、はい…そんな恐れ多いこと…；；」

「まあ、お前は上に立つ器ではないな。」

「はい、私はこれからも泰衡様にお仕えします！」

「…ああ、」

「え……」

「…………」

「…………」

「……？」

「……そんなの嫌です…。
　泰衡様がいなかったら……私……」

「…………心配するな、。お前が………」

「え？」

「…いや、俺はいなくなりはしない。
　お前がこの平泉にいるのなら、ずっと……。」

「…………」

「これからも…傍にいるな？」

「…………はい。」

「まあ……がんばっているだろう。」

「あ！ありがとうございます！」

「……失敗も多いがな…。」

「……は、はい……；」

「ふっ」

「も、もちろんです。」

「お前が答えてどうする。」

「あ…いえ；」

「まあ……良いがな…。」

「そうだな。」

「すごい人数ですか？」

「……まあ、な。」

「そうですか。」

「…………だが、お前は特別だ。」

「え？」

「……なんでもない。」

「………………」（心配そうな顔で見る）

「……………；」

「あの…泰衡様……」

「大丈夫だ……そんなことはない。」

「そ、そうですか…。」

「……あるわけないだろう…；」

「えっと、尊敬しています。」

「そうか。」

「はい、とっても！
　ご立派だと思いますし、泰衡様にお仕えできて幸せです！」

「………………そうか///」

「えっと…お屋敷のお掃除とかお庭のお手入れとか…」

「屋敷内の雑用か。」

「はい、そうです。」

「あと金の世話だな。」

「はい。」

「はい、もちろんです。」

「そんなに大層なことはしていないが…」

「でも、泰衡様を初め皆さんとても親切で、空さんたちもいますし。」

「だが前に…」

「はい？」

「……いや、お前は気付いていなかったんだな。」

「へ？」

「いや、良い。お前のことは俺が見ているから心配するな。」

「？……はい！」

「当然ですし、私泰衡様に命令されるの好きです。」

「どういうことだ？」

「泰衡様が私を頼って下さっていると思おうと嬉しいです。」

「頼るというか……」

「違いますか……」（しゅんと落ち込む）

「……まあ、必要としてる……と、」

「…は、はい！」

「……っ///」

「泰衡様、これからもよろしくお願いします。」

「ああ。だが……」

「はい？」

「……無理はするなよ。」

「……はい！ありがとうございます！」

「…………」