「有川将臣だ。」

「……平知盛…。」

「…関係…？」

「っていわれてもな…。」

「…還内府殿と…その付き人でもいいだろう…。」

「何だよ付き人って…；」

「重盛兄上か…？」

「その呼び方はやめろって言ってるだろ。」

「なら…還内府殿か…？」

「はぁ…；」

「冗談だ…そうだな…ならお兄様とでも…」

「やめろやめろ；それだけは止めてくれ…！」

「クッ…我侭な奴だ…。」

「初めて出会った時か…」

「父上が…お前を連れてきた時か…？」

「そうだな…。あの時は助かったぜ…。」

「クッ…命からがらと言った感じだったか…。」

「まあな…いきなりこんな所へ来たらな…。」

「クククッ…お前の世界は余程平和らしいな…。」

「父上が……気に入りそうな奴だとは思ったな…。」

「そうか…？」

「重盛兄上に似ているのも…事実だしな…。」

「そうか…。」

「お前はどうなんだ？有川…。」

「あ〜…まあ、見たままだな。」

「…？」

「やる気なさそうな、無気力そうな奴だと。」

「クククッ…つまらない回答だな…。」

「お前の印象だろ…；」

「時と場合によるな。」

「まあな……。」

「大体戦のないときはお前屋敷で寝てばかりだろ。」

「退屈なだけだ…」

「熊野ではまあ…ずっと一緒にいたけどな。」

「他にいなかったからな…。」

「長所な〜…；」

「ククッ……思いつかないか？」

「お前な〜；」

「まあ…お前は…その資質か…」

「は？」

「この戦の時代で…一門にとけこんだ技量…とか…」

「知盛…」

「まあ…お前の考えが甘いのは…事実だがな…。」

「………」

「何か…？」

「別に。ま、そういうお前も意外と面倒見がよかったりするけどな…。」

「……俺が…？」

「ああ。」

「ククッ……還内府殿は…お優しいことだ…。」

「やる気なさすぎだ。」

「はぁ？」

「お前だよ。普段とか。」

「……興味のないことに…力を入れる必要もないだろう…」

「はぁ…これだもんな…；」

「ククッ…まあ、良いだろう…特に困るわけでもない…。」

「困ってるのは周りだろ…；」

「そういうお前も…戦の中で甘い考えを持っているのは…どうかと思うが…」

「………」

「生き残れるかは運もある…お前一人がわめいた所で…」

「うるせぇよ…」

「……クククッ」

「共通点ね〜。あるか？」

「さあな……」

「今度は正反対か…。」

「一門のことに意欲的か…そうでないか…とか？」

「お前…自分の…」

「俺は楽しみたいだけだ…戦を…」

「………」

「したくないこと？…か…。」

「お前の意欲活動に…俺まで巻き込むのは…やめてもらいたいな…。」

「何のことだよ？」

「畑仕事…とか…？」

「ああ！？大事なことじゃねぇかよ！」

「めんどうだ……」

「う〜ん…；」

「還内府の…」

「ん？」

「還内府や重盛兄上の名を…疎ましく思っている…とかか？」

「別に…疎ましいわけじゃ…。」

「ククッ…そうか…？」

「利用できるものは…利用しないとな…。」

「……」

「お前謝らねぇよな〜。」

「謝る必要はないからな…。それとも何か？謝って欲しいのか…？」

「別に。」

「どうも…すみませんでした…とでも言えばいいのか？」

「だから別に良いって…大体何に対する謝罪だよ…。」

「ククッ…さあな…。」

「お前が…何が欲しいかなんて検討がつかねぇよ。」

「ククッ…欲しいものか…。」

「何かあんのか？」

「…生憎…俺を満足させるものなど…そうありはしないな…。」

「やっぱな…。」

「そうだな…強いて言うなら…あの女か…。」

「女？」

「強く…強かで…獣のような…あの神子か…」

「………却下だ…。」

「ククッ…残念だ…。」

「ままごとぉ！？…そんなん…しねぇだろ…。」

「クククッ……」

「あ〜…まあ、お前は猫で良いんじゃねぇ？」

「猫…？」

「それか飲んだくれ亭主とか…。」

「ククッ…面白いことをいうな…。」

「………はぁ；」

「まあ…剣の腕は…そう簡単には…」

「まあな。平知盛といえばかなりの武将だしな。」

「ククッ…あっさり認めるのか？」

「ああ…、けど、意外に舞や唄も上手いんじゃねぇの？」

「…あれは…好きでやってるわけではない…単なるたしなみの一つだ…。
　それに…一門にはもっと上手いやつもいる……重衡や…惟盛もな…。」

「ふ〜ん…。」

「難しいな…；」

「面倒ごとが回ってきた時…お前がいる方が楽だからな…。」

「あ〜そういうことか…。」

「俺が動かなくて済む…。」

「はいはい…。」

「何か…あんまりメリットなさそうだな…；」

「お前と入れ替わると忙しそうで敵わんな…。」

「ま…このままの方がいいか…；」

「さあ…どうもしないだろう…。」

「寂しい奴。」

「何だ…泣いて欲しいのか…？」

「違うけどよ…；」

「クククッ…まあ…楽しみは減るかも…な…。」

「一言ね〜。」

「これからも楽しませてくれよ…。」

「ま、これからもよろしくな。」